地震や台風での災害が発生した際、断水が起き給水車には長い行列が…というニュースを見たことはありませんか？
いつどこで起こってもおかしくない災害に備えるため、生活水を備蓄しておこうという家庭が近年増えております。
いざという時、備蓄水を保管しているかどうかで生活の質や心の余裕が違ってきます。
そこで今回は、『災害時に備えて備蓄しておくべき生活水の量や、備蓄水の保存方法・保存期限』について紹介いたします。
自分の身を守るため、大切な家族の身を守るために対策したいと考えている方は、ぜひご参考ください。
ー目 次ー
Toggle■災害時に必要な生活水の目安は9L（3日分）
大人1人あたりが1日に必要とする水の量は3Lといわれています。
災害時のために備蓄する水の目安は3日分となりますので、3L×3日分で1人あたり9Lを目安に備蓄してみましょう。
ただし、この数字は飲料用や食事用などで必要になる分です。その他のお風呂用やトイレ用の生活用水は、別で必要となります。
しかし、飲料目的でない水まで備蓄しようとするととても大変ですね。
飲料水と同じレベルの衛生管理は必要ないことから、雑用水に関しては普段から浴槽に水を溜めたままにしておくなど、別の対策で備えていくほうが合理的です。
■災害時に必要な生活水の種類と量
災害時に必要となる生活水の種類と量を詳しく紹介いたします。
①飲料用
②食事用
③トイレ用
④衛生・風呂用
①飲料用
備蓄水の用途として最も重要度が高いのが飲料用の水です。
災害時に必要な飲料用水の量は大人1人当たり1日約3Lです。
人は体重の60～80％が水分でできており、1日の生活の中で2～3Lの水分を尿・汗・呼吸等で排出しています。
そのため、毎日排出分と同じ量だけ水分を摂取する必要があるのです。
ただし、1.5～2.0L分は飲料水からの水分摂取が必要となりますが、残りの水分は食事や水以外の飲み物からも摂取可能です。
備蓄の一部はお茶やジュースに代用することもできます。
②食事用
食事用に必要となる水というのは、汁物をつくったり食品を茹でたりする際に使う調理水のことです。
これらは口に入る水のため、種類としては飲料水を使用する必要があります。
また上記の調理水とは別に、レトルトの食品を温める際にもお水が必要になりますが、こちらは口に入るお水ではないため飲料水のカテゴリには含まれません。
そのため、レトルト食品の加熱を考慮して水を備蓄するなら、1人1日約3L×3日分とは別に、加熱に使用するための水を用意する必要がありますので注意してください。
③トイレ用
トイレを1回流すために必要な水の量は約10Lといわれています。
一日にトイレに行く回数や家族の分などを考えても、なかなか備蓄しておける量ではありませんね。
また、災害で断水している時等は排水管が破損している可能性もありますので、出来ればトイレの水は流さないほうがよいです。
もちろん、貴重な飲料水をトイレへ流すのに使うのは大変にもったいないため避けましょう。
災害時のトイレ対策は携帯用トイレを備蓄することをおすすめします。
④衛生・風呂用
お風呂は1回約100L以上の水を消費するといわれていますが、それだけの水を備蓄しておくのは大変無理があります。
またお風呂に使う水は飲料水とは異なり、生存に不可欠なものではありません。
生活水の中でも優先度は比較的低いため、衛生対策としては水のいらないドライシャンプーやウエットティッシュ等の備蓄をして水を節約することも検討しましょう。
また、手洗いや歯磨きにも水が必要のため、こちらもウエットティッシュやマウスウォッシュ等があると代用でき水の節約になります。
■備蓄した生活水の保存期限
お水は食べ物のように腐らないだろう…というイメージをお持ちの方も多いと思います。
しかし、水も時間が経てば品質は落ちてしまいます。
また、保存方法や保存環境によっては、品質の低下を速めてしまうこともあるため注意が必要です。
そこで、備蓄水の種類別に、保存方法と保存期限を紹介いたします。
ペットボトル水の場合
ペットボトル水の場合は常温で長期間の保管が可能です。
一般的なペットボトルのミネラルウォーターなら半年から1年。備蓄用のお水であれば3～5年程保管可能なものもあります。
ただし、一度開封した水は雑菌が入り込み繁殖を始めてしまうので、賞味期限にかかわらず早めに使い切ることをおすすめします。
500mlならその日のうちに、1～2Lのボトルなら2～3日以内に使い切るのが目安となります。
また、ペットボトルの水を飲む際は直接口をつけずにコップ等に移しながら飲むと傷みにくいです。
※ペットボトル水の賞味期限は「内容量を維持できる期間」
「長期間保管可能と言っても、ペットボトルに書いている賞味期限まででしょ？」と思う方は多いでしょう。
しかし、実はお水は賞味期限が切れていても飲むことはできます。
なぜなら、お水の賞味期限は品質の保持ではなく、内容量の保持の目安となる期限のことだからなのです。
ペットボトルはわずかながら空気を通すため、常に少しずつ蒸発して水が少なくなっているのです。
中身が減ったものをそのまま販売すると計量法に違反してしまうため、内容量を維持できる期限を賞味期限としているのです。
こちらも知っておく・家族と共有しておくと良いですね。
水道水の場合
水道水を備蓄する際の保存期限の目安は、常温で約3日、冷蔵庫で約10日となります。
水道水の中の塩素（カルキ）には殺菌作用がありますが、塩素は時間が経つと抜けてしまうため持続はしません。
ペットボトルのお水ほど長期間の保存ができないため、こまめに入れ替えを行いましょう。
■備蓄生活水の保管方法～4つの注意点～
生活水の備蓄をする際に覚えておきたい注意点について紹介いたします。
①直射日光を避けて保管しましょう
②保管場所は分散させましょう
③賞味期限を定期的に確認しましょう
④水道水は煮沸しないで保存しましょう
①直射日光を避けて保管する
ペットボトルに詰められた未開封のお水であっても、直射日光が当たる場所で保管すると品質が落ちてしまいます。
同様に高温多湿の場所も備蓄水の保管には適さないため避けるのがよいでしょう。
②保管場所は分散させる
災害時は、建物や家具家電の倒壊によって保管していた備蓄品を取り出せなくなってしまう可能性もあります。
対策としては、備蓄品を1ヵ所にまとめずに保管場所を分散させましょう。
備蓄水だけでなく、防災グッズなども何か所かに分けて保管すると良いでしょう。
③賞味期限を確認する
ペットボトル水は賞味期限が切れても飲むことは可能と紹介いたしました。
しかし、お水の品質も永遠に維持されるわけではありません。
定期的に賞味期限を確認し、期限が近くなったら使用して新しい備蓄水を補充するようにしてください。
④水道水は煮沸しないで保存する
水道水を備蓄する際は、水を煮沸してはいけません。
なぜなら殺菌作用のある塩素（カルキ）が除去されてしまい、逆に傷みやすい水になってしまうからです。
煮沸直後はきれいであっても、一度雑菌が入れば繁殖を抑えてくれる塩素がない分菌が増殖しやすいのです。
保存目的であれば、水道水は煮沸しないようにしましょう。
■生活水の備蓄にはローリングストック法での保管が最適
「ローリングストック」とは、普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
常に在庫が新しいものに入れ替わっていくため、賞味期限が切れていたという事態を防ぐことができます。
備蓄水の保管場所は分散したほうが良いとお伝えしましたが、具体的にはどこに保管すればいのでしょうか。
生活水の備蓄に適した保管場所について、次のことを紹介していきます。
①自宅のキッチンやクローゼット
②トランクルーム
③ウォーターサーバー
①自宅のキッチンやクローゼット
自宅のキッチンやクローゼット等、直射日光が当たらない高温多湿でない場所に分散して保管しましょう。
ペットボトル水は常温で保管できる為、冷蔵庫に入れる必要はないのです。
一方、水道水の保存は必ず冷蔵庫で行いましょう。
②トランクルーム
家の中に備蓄水を保管するスペースを確保できない時や、万が一の自宅の倒壊まで想定しておきたいという場合は、トランクルームをレンタルしてそちらに備蓄水を含めた防災セットを保管するのも方法です。
生活スペースを圧迫せずにまとまった量の備蓄ができる・災害時の家族の一時避難場所として確保しておけるという点もメリットです。
トランクルームを借りる際は、家から遠すぎない距離で行きやすい場所を選ぶことをおすすめします。
③ウォーターサーバー
災害対策用にウォーターサーバーを導入するのも一つの方法です。水を定期購入するため自然と備蓄が行えます。
そして、すでに紹介していたように、生活水の備蓄方法として適している「ローリングストック法」を行うことができるのもウォーターサーバーのメリットといえます。
■生活水の備蓄・管理に適したウォーターサーバーの選び方
生活水の備蓄にはウォーターサーバーを活用する方法があることをお伝えしました。
しかし、「ウォーターサーバーを検討したことがない・使ったことがないため選び方がわからない…」という方も多いかと思います。
そこで、生活水の備蓄・管理に適したウォーターサーバーの選び方について紹介いたします。
ワンウェイボトルよりもリターナブルボトルの方が災害時の流通に強い
ウォーターサーバーには、使い捨てタイプのワンウェイ方式と、ボトルをメーカーが回収して繰り返し使うリターナブル方式があります。
災害時のことを考えて選ぶのであれば、リターナブルボトルのほうがおすすめといえます。
なぜなら、リターナブルボトルは自社によるボトルの配送を行っているため、災害時でも配送が止まってしまう可能性が低いからです。
対してワンウェイボトルは、ボトルの配送を別の企業に委託しているケースがほとんどのため、災害時に業務がストップしてしまう可能性が高くなります。
自社の配送手段を持っているリターナブル方式の方が、いざという時にもお水を配送してくれる可能性が高いのです。
ただし、必ずしも配送してくれるというわけではなく、あくまで「可能性が高い」ということです。
天然水よりのRO水の方が賞味期限が長い
ウォーターサーバーで取り扱う水の種類は主に2つあります。
熱の加工などを最小限に済ませて、自然本来のミネラル成分や味わいを保っている天然水と、ミネラルなどを含む不純物をほとんど取り除いたRO水です。
天然水はミネラルなどの成分はそのまま残っていて味わい深いメリットがある反面、賞味期限が短い傾向があります。
開封済みで2週間、未開封の状態でも半年ほどしか持たないため、災害時の備蓄水として保管しておくには少し心配ですね。
一方、RO水の場合はほとんどの不純物を取り除いた純水に近いお水のため、賞味期限が長いのです。
開封してしまうと1ヶ月で天然水とあまり変わらないものの、未開封の状態であれば、1年～1年半は保管が可能です。
長期間の保存ができるため、いざという時の備蓄水にはRO水がピッタリなのです。
■生活水以外に必要な備蓄・防災用品
災害時に、生活水と一緒に備蓄しておくと便利な防災用品を紹介します。
①非常用の簡易トイレ
②備蓄用の食料や非常食
③防災セット（リュック等にあらかじめ詰めておく）
④ペット用の食料
①非常用の簡易トイレ
断水時の大きな問題といわれる1つが、トイレを使えないことです。
非常用の簡易トイレがあれば、トイレのない場所でも使えますし、そのまま可燃ごみとして処分することができます。
非常用トイレの中には消臭効果付きのものや、中身を密閉して臭いを閉じ込められる仕組みのものもあります。
貴重な水をトイレに使いすぎるのはもったいないですから、簡易トイレは備蓄しておきたいですね。
②備蓄用の食料や非常食
水と同じように非常時用の食料も3過分を目安に備蓄しておきたいところです。
最近ではレトルト食品や缶詰、アルファ米等様々な種類の非常食が売られています。
水がなくても食べられる物と、水を入れたり湯煎したりして食べる物、両方を用意しておくと良いでしょう。
食べ物のバリエーションは多い方が心に余裕ができますので、様々なもの備蓄しておくことを検討してみてください。
③防災セット（非常時の持ち出し品）
非常時の備えとして最優先で持ち出したいものを、まとめてリュック等に詰めた防災セット（非常時の持ち出し品）を事前に準備しておきましょう。
例えば中には下記のようなものを入れておきます。
□印鑑・通帳・現金などの貴重品
□救急セット・軍手・毛布などの身を守るもの
□懐中電灯・ラジオ・ライター・水・食料などの防災グッズ
あまり多くを入れすぎると重くなってしまい非難の妨げになります。そのため、最小限の量だけをまとめてすぐに持ち出せるようにしておきましょう。
④ペット用の食料
意外と忘れてしまいがちな物が「ペットの食料」です。
カリカリのドライフードは開封後もある程度長持ちなのがメリットですが、水分補給用のお水も必要です。
一方、缶詰などのウェットフードは食事と一緒に水分補給にできるためお水の節約にもなります。未開封の缶詰なら賞味期限も長いため備蓄にピッタリなのです。
ただしドライフードとは違い、開封後は傷むのが早いため食べきりサイズを備蓄すると良いでしょう。
■生活水の備蓄をすることで、いざという時の生活の質は大きく変わります
災害時に備えて備蓄すべき生活水の量や、備蓄水の保存方法・保存期限について紹介いたしました。
地震や大雨による災害はどこで起きてもおかしくないですよね。
災害を想定した備えがあるかどうかで、いざという時の生活の質やストレスの大きさは変ってきます。
自分を守るため、そして大切な家族を守るためにも、まずは生活水の備蓄から始めてみませんか。
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